すこやかに、穏やかに子育てをしたい。日々のストレスもなんとかしたい! そんなハハをサポートしてくれるのが、アロマテラピー。毎日の暮らしの中で、気負わず、できるだけ簡単に、楽しんで使える。そんな“暮らしのアロマ”をお伝えしていきます。
上気道へのアプローチはアロマの得意分野
東京から大阪へ引っ越して5年、西日本は暖かいなぁとのほほんと過ごしていますが、12月も半ばになると、外出時の手袋が欠かせなくなってきます。そんな深まりゆく寒さと共にやってくるのが、子供達の感染症。幼稚園からは、「インフルエンザが流行り出した」「嘔吐の症状がでたら登園を控えるように」などなど、あまり心弾まないお知らせが届きます。
我が家もご多分に漏れず、長男、長女が咳、鼻水、発熱…と続き、0歳の末っ子にも余波が及びました。小さな体で外来の微生物と戦う姿は健気でいじらしく、寝ずの看病をいとわずお世話をしていたのですが、最後の砦であったハハも、風邪にやられてしまいました。
風邪の原因の多くはウィルスによるものです。ウィルスが鼻や喉などの上気道に感染し、鼻水や咳、喉の痛みなどの症状が発症します。この上気道の炎症へのアプローチは、アロマテラピーの得意分野です。鼻から精油を吸い込むことで、喉、気管、気管支、肺へと精油の成分を直接届けることができ、植物オイルなどで精油を希釈して、喉や胸などに塗布することでも、身体に吸収させることができます。
加湿、加温に精油をプラス
まず、風邪がはやり始める時季に予防として行いたいのが、加湿と加温です。乾燥すると、ウイルスが空気中を浮遊しやすくなり、空気中をふわふわと漂うウイルスの量が増えるのだそう。さらに、乾燥と体温の低下によって人間の身体は抵抗力が弱くなります。乾燥して気温が低くなる冬は、空気中に漂うウイルスの量が増えるうえに、身体の抵抗力も落ちやすいので、風邪が蔓延しやすいということなのですね。
最近は精油を入れて使える加湿器も多いので、部屋の湿度を上げながら、抗ウイルス作用、抗菌作用、免疫強化作用などのある精油を部屋中に拡散しておきましょう。風邪予防に適した精油は、ユーカリ、ティートリー、ペパーミント、レモンなどです。抗ウイルス、抗菌、免疫強化などの作用があります。
加湿器やディフューザーが無ければ、沸かしたお湯をカップやボウルなどに入れ、精油を3~4滴垂らしておくだけでも、室内に香り成分が拡散していきます。
外出時の予防には、マスクに上記の精油を1滴垂らしておきましょう。このとき、鼻の近くに垂らしてしまうと、香りが強くて頭がクラクラしたり、気分が悪くなることもあるので注意が必要です。マスクの表側、顔に触れない方の面の端に1滴垂らすだけでも、十分香りが漂います。
特にペパーミントなど皮膚刺激がある精油は、直接肌に触れない場所を選んでください。以前、よくばってペパーミントとベルガモットを鼻の近くに1滴ずつ垂らしたマスクを着けて外出したら、肌はピリピリするし香りが強くてクラクラするし、すぐに外してしまいました。なにごとも適量が大切です。
風邪をひくには理由がある?
あれやこれやと予防をしていても、風邪をひくときはひきます。アロマテラピー効かないやん!という訳ではなく、風邪をひくには理由があるようです。同じ家にいても、幼稚園のクラスで風邪が蔓延していても、風邪をひかない人もいます。ウイルスなどの異物が体内に入っても(感染)、全員に症状が出る(発症)訳ではないのです。
どんな時に発症するのかというと、その人の抵抗力、免疫力と言われるような、身体の力が弱っている時です。例えば、お腹を出して寝て身体が冷えた。食生活が乱れていて栄養不足の状態。寝不足で疲労がたまっている。仕事のストレスで胃が痛い。どうでしょうか、そんな時、風邪を引きやすくありませんか?
私は先日風邪を引いてこじらせましたが、心当たりがありまくりでした。子どもたちが立て続けに風邪を引き、看病疲れ。乳児がいるので夜も寝不足。夫は多忙で週末も家におらず、ハハの休息時間ほぼ無し! そして追い打ちをかけるように、早食いによる食べ過ぎで消化不良。授乳中なので、栄養のあるものをしっかり食べようと頑張ったのが裏目に出ました。子どもたちのお世話をしながら、ろくに噛まずに食事をしていると満腹感がなく食べ過ぎてしまいます。消化器に大きな負担がかかり、慢性的な胃もたれ状態でした。まさに、3拍子も4拍子も揃って、風邪を発症した訳です。
そんなこんなで発症した風邪にも、もちろんアロマテラピーは有用です。鼻水や鼻づまり、喉のイガイガなどがつらいときは、植物オイル(ホホバオイル、スイートアーモンドオイルなど)やミツロウに精油を混ぜて、胸元や喉、鼻すじに塗布すると楽になります。
精油を身体に塗布するときは、希釈して1%程度の濃度で始めてください。精油1滴は0.05mlなので、30mlのオイルなら6滴入れれば1%です。ユーカリ2滴、ティートリー2滴、ペパーミント2滴のようにブレンドすると、精油の相乗効果が得られてより効果的です。
子供に塗布する場合は3歳以上からが推奨されており、3歳以下の場合は芳香浴(香りの吸入)のみにしておきましょう。
子供も手軽にできるのが、マグカップにお湯をはり、そこに精油を垂らして直接吸入する方法です。70~80度程度のお湯に精油を3~4滴入れたら、カップの上で深呼吸して蒸気をゆっくりと吸入します。精油は揮発性が高くお湯に入れると香りがすぐに立ち上るので、バスタオルなどを頭からかぶって吸入するとより効果的です。
鼻水や鼻づまりがある場合、鼻が通って鼻水がタラタラ落ちるので、脇にティッシュペーパーを用意しておいてください。
私は今回の風邪でユーカリのマグカップ吸入を数回しましたが、ツーンとした香りが脳天まで突き抜けていく感覚で、本当にスッキリして気持ちがよいです。刺激があるので、必ず目はつぶって行ってください。子供の誤飲にも気を付けてあげてくださいね。
まずは休養、アロマはサポートに
アロマテラピーによる風邪予防、風邪対策を紹介してきましたが、なによりも大切なのは、日々心身を整えていくこと。早寝早起き、健康的でバランスのとれた食事、ストレスをためすぎないこと、休息をとることなどが暮らしの基本となり、風邪に負けない身体を作ります。
けれど、時には風邪を身体に招き入れて、風邪にかかりきることも必要だと思うのです。風邪の症状は、異物を外にだし、デトックスしてくれる効果があります。風邪で熱を出した後、妙にスッキリしたり、それまで抱えていた不調が改善されたという経験はないでしょうか。
我が家の長男は、昨年の秋から冬にかけて、毎日のように原因不明のジンマシンに悩まされていました。かゆみで眠れない夜には薬で対処することもありましたが、根本解決にはなりません。そんなときインフルエンザにかかり、40度近い熱を出して回復した後、じんましんはさっぱり出なくなりました。彼の身体の中で何が起こったのか詳しくは分かりませんが、風邪の症状により浄化されたとしか思えない変わりようでした。
特に子供は、風邪のような軽い病気を繰り返し、徐々に免疫を獲得しながら身体を強くしていくので、ある程度の感染症にかかり克服していくことも、成長の大切なプロセスだと認識しています。だから子どもは、親がいくら健康的な暮らしを心掛けていても、必要なときには風邪をひくものだと思うのです。
子供を無菌室で育てることはできません。たくさんのウイルスや菌と仲良くなり、共存共栄していく逞しさが必要ではないでしょうか。
ちなみに風邪は、基本的には静養していれば自然と治ります。風邪のときに処方されることのある抗生物質は、風邪の原因の多数を占めるウイルスには効きません。風邪薬や咳止めなども、つらい症状をやわらげるためのものです。ウイルスを殺したり、風邪の原因となった身体の不調そのものを治すものではないということを知っておきたいですね。(→hahaha!日記「子どもと病気とハハの思いと」参照)
風邪は、私たちが持つ自然治癒力によって、自ら治すものです。アロマテラピーは、あくまでそのサポートだと考えてください。
もちろん、食欲がなくて水分も摂りたがらない、ぐったりして顔色が悪い、いつもと違う泣き方をするなど、不安な症状がある、症状が長引く・重いという場合は、適切な診断と治療を受けるために、病院の受診も必要です。頼りになるかかりつけ医を見つけておきたいですね。
子供が風邪をひいたら、お母さんの優しい手でアロマのお手当てをしてあげてください。風邪をひいたのがハハならば、まずはできるだけ休んでください。そして、自分を癒すためにも、心地よい香りのお手当を試してみてください。
毎日、子供のため、家族のために踏ん張るたくさんのお母さん達へ、愛とエールを込めて。
※精油を選ぶ際は、添加物などを含まない100%ピュアでナチュラルなものを選んでください
※精油の取り扱いで不明な点は、アロマショップなどのアロマテラピーインストラクター、アロマセラピストなどの有資格者に確認してください。取扱いに禁忌事項や注意事項がある精油もあります
※妊娠中の方は使用禁忌の精油があるので、上記の有資格者に使用について相談してください
※精油を塗布する場合基本的に原液で使用せず、植物油などで希釈して使います。取り扱いについては注意を払い、自己の責任の元で使用してください