はじめまして。徳島県徳島市で11ヶ月の男の子のハハをしている吉田絵美といいます。祖父母が50年前に建てたトタンの二軒長屋(借家)を改装し、雑貨店兼喫茶「nagaya.」を運営しています。仕事場である店の裏は実家で、たいへん恵まれた環境で子育てをしております。

ナガヤプロジェクトの全景。築50年の二軒長屋3棟を改装し、雑貨屋兼喫茶「nagaya.」古本屋「youare…」革小物工房「トリトヒツジ」図書館「おとなり3」ネイルサロン「四ツ葉」がオープンしています。
(TOPの写真は、ナガヤの中庭スペース。近所の子どもたちの格好の遊び場に!)
しかし数年前までは、私が結婚、ましてや子育てをしている姿など想像もできない生活をしていました。地元の徳島に戻って来たのは5年前で、それまでは東京で「暮らしを楽しくするようなものに関わりたい」という思いで、インテリアショップのバイヤーや靴の企画の仕事をしていたのですが、もちろん独身でした。遅くまで仕事をし、家の近くの行きつけのごはん屋やターミナル駅のビルで夕飯を済ませ、家では寝るだけという生活をしていて、暮らしに関わる仕事をしているのに、自分の仕事と暮らしは分断されていたように思います。
人にはその年齢やタイミングに合わせた仕事と暮らしがあるのだと思います。私の場合は、10代でキラキラした東京ライフに憧れて地元徳島から関東の大学に進学。20代は就職を機に大学の仲間たちと中野や鎌倉で一軒家をシェアして暮らしていました。面白い友人に囲まれ、素敵な大人とオシャレな店に飲みに行ったり、長期休みで海外をバックパックで旅行したり。仕事はやりがいもありましたが、自分の将来をふと考えた時に「このまま東京での仕事と暮らしが続けていけるのだろうか」と漠然と思ったことがあります。
20代の生活スタイルからあまり変わっていない31歳の時に、3.11の地震がありました。偶然にも同じ日の早朝に祖母が他界し、仕事とパソコンを抱えて徳島行きの飛行機に乗る直前、羽田空港での被災でした。電話やメールは全く通じず、家族と連絡できずに空港で数時間足止めされました。20代で抱いた「このままでいいのか」という小さい不安が、この地震で揺さぶられて、振り子のように大きくなったのだと思います。その年の8月には徳島県三好市に仕事をみつけ、Uターンしていました。
そこで現在の夫と出会い34歳で結婚、同じ歳に独立して店をオープン、35歳で子どもを出産……今思えば怒濤のような数年を過ごしました。20代までは徳島に戻ることはないだろうと思っていたのを忘れてしまう程、30代での田舎生活はなんとも快適です。新鮮で安全な食材が安く手に入り、通勤も車で楽ちん、保育園もすぐ入園できました。10代で思い描いていた東京のキラキラした暮らし…は結局手に入らないままですが、仕事と暮らしが地続きのような、しっくりした感覚を持つようになりました。時々子どもと一緒に店に立つこともあります。子どもの成長を楽しみにしてくれているお客様もいます。小さな子どもを抱えながらの仕事は、毎日の繰り返しが尊いものだと実感できるようになりました。40代になって子どもが大きくなって来たら、また違う仕事と暮らしのが見えてくるのかもしれません。
hahaha!では、徳島での子どもとのささやかな暮らしや、仕事の風景(お付き合いのあるモノ作りしている方たちのことも!)を綴っていければと思っています。宜しくお願いします。