山あり谷あり、文字通り海も越えて、無事に出産しました。
アメリカでも母乳推奨
アメリカでも現在は基本的に母乳育児が推奨されています。私が出産した病院でもそうでした。
入院中「母乳で育てるつもりか」と聞かれて「YES」と答えたからか、一切ミルクは与えられませんでした。あまりに赤ちゃんが母乳をのまないことが心配であれば、ミルクをあげることもできたようですが(ということに後から気づく)、そのオプションが病院から提案されることはなく、こちらからお願いしないといけませんでした。
産まれた瞬間から、たとえ親として新米であっても、こどもの責任は親にあり、こどもに関する選択は親がすべきこと、という姿勢が一貫していました。
初めは母乳も出ているかわからないし(たぶん出ていない)、こどもはずっと泣いているし、産まれた瞬間から親子3人同室で休むヒマなし、1時間半〜2時間おきに授乳、というハードな入院生活。
入院中に母乳指導はほとんどなし、その代わり、退院後の訪問母乳指導を勧められました。
退院した日(産後3日目)の夜、母乳もたいして出ていないし、あまりに乳首がちぎれそうに痛くて痛くて、「もうやめる。ミルクで育てるー!」と産後初めて号泣しました。
瞬間風速で考えると、産前産後通じて一番つらかったのは、あの日あの瞬間でした。
新米ハハ、乳首の健康は産後ハハの健康を司っていることを知る。
その数日後、母乳指導に来てくださった方のていねいなケアのおかげで母乳も出るようになり、こどもと私も授乳に慣れ、結局完全母乳で育てることができました。

退院後は車で帰宅
大きいチャイルドシートに乗って、初ドライブ記念日
産後の赤ちゃんケア
アメリカではごく一般的な、下の2つをご紹介します。
カンガルーケアは最近日本でも増えてきているようですね。
・skin to skin
出産した病院は、産後すぐのskin to skin(カンガルーケア)を熱心に勧めていました。
母親と赤ちゃんが直接肌と肌を触れさせることで、赤ちゃんが安心し、情緒面でいい作用が産まれること、母親にとっても母乳が出やすくなるなどの理由から、退院後も赤ちゃんが泣いたときや寝る前など、skin to skin をしてね、と言われました。
・swaddle
アメリカでは、赤ちゃんを泣き止ませるためにswaddleといって、みのむしみたいに全身をくるみます。赤ちゃんはおなかの中にいるときみたいに全身がきゅっと固定され、安心するようです。
看護師さんたちの慣れた手さばきにホレボレしながらも、不器用な私がswaddleをマスターするほど入院生活は長くなく、ほどけやすい中途半端な巻物がやっとできるようになった辺りで退院、下界に戻ってまいりました。

みのむし状態で眠る我が子@病院にて
出産って
“Scared is normal! Just remember that though it probably won’t be “perfect” it will still be perfect. It will be one of the most amazing experiences of your life.”
出産の直前、友人に言われたことばです。
「こわいって、ふつうのこと。きっと、パーフェクトな出産にはならないと思うけど、それでも結果、パーフェクトになるはずだから。人生の中の、最高にすばらしい経験のひとつになるよ」。
本当に、その通りになりました。
ところ変われば、出産スタイルも全く違うもの。
元々鍼や漢方やお灸が好きで、日本で産むなら助産院もいいな、と思っていた私は、アメリカで出産するにあたり、西洋医学のゴリゴリ合理主義、医療でなるべくコントロール、という考えに閉口することもありました。
アメリカの帝王切開率は3割とも言われています。
計画分娩も多く(出産予定日が休日とかぶったりすると・・!)日本ほど自然にお産を待ちません。
さまざまな考えがありますが、出産において大事なのは、何よりも、子と母の命と健康。それは、万国共通のことです。その上で、自分にとって必要で、できるだけ心地よいものを取り入れていけばいいのかなと思うようになりました。
自分のこだわりにこだわりすぎず、頭をやわらかくしておくこと、プロフェッショナルの意見を聞き、あとはなるようになるさ、という気楽さ&適当さが大事だと、出産を通じてしみじみ思ったのでした。
アメリカでは、妊娠出産に限らず、誰かのお祝い事を気持ちよく祝う文化があるように思います。
そして、本当によく、人に話しかけます。
妊娠中はよく「おめでとう!」「男の子?女の子?」「予定日はいつ?」など道ばたやスーパーやバスで話しかけられていました。小さなこどもを連れている今も、「かわいい!」「今何ヶ月?」と。
道行く人の多くが、こちらが通るまでドアを開けていてくれる、こどもをあやしてくれる。
こうした環境で初めての出産・子育てのスタートを切れたのは、
とても幸せなことだなぁと感じる最近です。