はじめてわが子を抱いたあの日のこと。
ちいさくて、ふにゃふにゃで、頼りなくて、かわいくて、かわいくて。
この子を生涯かけて守っていく。幸せな人生を送ってほしい。
ほとばしるように、そう感じたあの日。
それから月日は流れ、ちいさな赤ちゃんはやがて、自分の足で歩き始めます。
日々大きくなりゆくコを見つめながら、
この瞬間を脳裏に、魂に、焼き付けておきたいと切に願う。
忘れたくない。それがハハの願い。
小さすぎて、あなたは覚えていないはずだけど、
はじめて雨が降る空を見上げた日。
ちいさなラッパを吹いてその音に驚いたときのこと。
ブランコにゆられてうたた寝した昼下がり。
そのとき傍らにいたハハの気配、つないだ手、笑いあった声。
そんな記憶が、どうか心の奥にしみこんでいますように。
あなたが大きくなって、つらいとき、悲しいとき、
ほのかな思い出がじわっと湧き出して、なにかの助けになりますように。
…なんて思いながらも、毎日大変なことも多くて、悩んで泣いて、心が折れそうになる。
母親って、切ないですね。
そんなとき、この絵本を読むと、胸がはちきれそうに幸せな日も、うまくいかなくて涙をこぼす日も、同じようにかけがえのない日々だということに、立ち返れるのです。
ケンカをしたり、怒りすぎてしまったな、というとき、コを膝にのせて、一緒に読んでみてください。
ちょっと照れくさいけれど、
ギュっと抱きしめて、ありがとう!と言いたくなると思います。
私はその前に、毎回一人で号泣。
そして「ママー、なに泣いてるの? おかしいやん!」と笑われるのが常なのです。