出産前。
世の母親たちがしきりに使う「魔の2歳児」という表現を、どこかナナメに見てました。
そんな名前をつけちゃってるけど、ホンマかいな。育て方次第なんちゃうん?と。
そして同時に、ひどく恐れてもいました。
どんな子でもどんなに頑張ってもそれはやってくるのだろうか
どうしても避けて通れないのだろうか
言うことを聞かない我が子を愛せなくなったりしないのか
振り回され続けて私は疲弊せずやっていけるのだろうか
そのままずっとワガママな人間になってしまわないのか
当時の私の疑念や恐れを見事に払拭してくれた本がこちら、
『フランスの子どもは夜泣きをしない』でした。
私の子育て観に一番影響を与えてくれた本の1つです。間違いなく。
結論から言うと、
「子は悪魔にならず、母は召使いにならずに済む」とこの本は言っています。
子のワガママに翻弄され、機嫌を取るために欲求を叶え続けるのではなく、
子の訴え求めることを尊重しつつ欲求をコントロールしてあげること。
どうしたらそんなことができるのか。
フランス人が普通にやっている、叱り方、しつけ方、考え方が書かれています。
たとえば、フランス人の母親は「静かにしなさい」「やめなさい」ではなく
「待ちなさい」「賢くしなさい」と厳しく言う。
「今ここで、あなたがそれをすることは許されていません」と伝える。
子がちゃんと分かる、できると信頼し、
自制することや節度を持つことを求めるのだそうです。
欲望をコントロールできる人になることは、結果、幸福な人生につながるから。
こんな話が、著者であるアメリカ人の母によって、
悩みながら解き明かされていくのが面白い。
アメリカ人が子育てに関して信じていることや、振り回されっぷりが
日本人の状況とほぼ同じなので、大きな共感と納得感を持って読めるのです。
で、読み終わった頃に気付きます。
イヤイヤのある・ないじゃなく、
ましてイヤイヤしたら負け・しないから勝ちでもなく、
いかに子と向き合い、大切なことを1つ1つ教えていけるか。
問われているのは私の姿勢と価値観と強い意志だと。
結果的に「泣けば思い通りになる」と繰り返し教え込んでしまうのではなく
「わきまえれば楽しめることがもっと増える」と伝えていく。
何より、母がかっこよく、よき人間であること!
まあね、こちとらパリジェンヌじゃありませんから、
そーんな簡単にはいきませんよ。
(現にソフトめなイヤイヤは始まっておりますウチの息子1歳半…笑)
でもとにかく、暗中模索ではなく、
うっすらでも光のある道を進めること、これはすごく心強いことです。
ちなみに、このレビューを書くにあたり、久々に読み返したところ・・・
私にグサリと刺さった章がありました。
それは夫婦関係の章でした。
夫の子育てのやり方について、小さなことでキーキー文句ばかりの著者。
夫婦ともに疲れ果て、愛とかデートなんてとんでもない状況で、
フランス人夫婦を手本に、解決策を見出していく話です。
産前の私には「無関係よ~」くらいサラリと読めていたこの部分が、
……お、重いっ!
私が棚に上げまくってきたものを見返して反省し、
今夜は夫に優しくしよう、そう誓うのでした。
・・・と、いうわけで、
出産前の夢見るハハも、
可愛い悪魔に絶賛振り回され中のハハも、
いろいろ落ち着いたぞってハハも、
それぞれのステージでグッとくる部分がきっとあるはず!
おすすめの一冊です。ほんとに。