(2017年冬。長男2歳半、次男8か月とかそこら。基本ワンオペ。
その頃に殴り書かれた手帳の文字を起こし再編集したものです)
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※できる人は、音楽をかけながら読んでみてくださいね。
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https://youtu.be/bIB8EWqCPrQ
・Chromeでペーストして曲を再生、ホームボタンで閉じ、画面スワイプでコントロールセンタの中にある再生ボタンを押す
または・Safariで再生、下の共有ボタンから「デスクトップ用サイトを表示」、曲を再生したらホームボタンで閉じる(何度か試す)
深夜、一人で風呂を温め直し
フランス土産でいただいたオリーブの石鹸をおろし
何カ月ぶりだろうゴシタで体をこすり
ちゃんと頭皮をマッサージしながらシャンプーし
湯船で、深呼吸をした。
あがると、居間に夫が倒れ込んで寝ていた
ふと、自分でも不思議なのだけど
気まぐれに、その横に添い寝をしてみた
なぜか嫌じゃなく、吸い寄せられるように
彼の左の肩に頭を乗せたら、あまりにしっくりくるので驚いた
記憶がどんどんトリップしていく
世田谷代田のワンルーム
セミダブルのベッド
若い私たちは猛烈に恋をしていた
こうしてくっついて眠っていた年月はどれくらいだったのだろうと数えてみる
それは私たちがくっついて眠らなくなってからの年月の倍以上あった
どうりでしっくりくるわけだ
ちょうどEd Sheeranの「Supermarket Flowers」が流れていた
ただでさえセンチメンタルになる曲だが
サビに入り、ハレルヤと聞こえてきたとき
私の思考はさらに別方向へトリップした
もうひとりの自分が、真俯瞰で上から
眠る私たち夫婦をとらえている映像が見えた
視点はどんどん遠ざかり、小さくなっていく
仕事と育児と口論で
身体も心もくたくたになって眠る私たちを
誰かが見下ろしている。
何年後かの私か、いや神なのかもしれない
それはちっぽけな、
でも一生懸命な
健気な二人だった。
私はもっと一緒に居たいだけだし
彼は私の笑顔が見たいだけで
本当は、お互いが好きだと叫んでるだけだったのに
原形が分からないくらい
こんなにも言い争って擦り切れてしまった
毎日くっついて眠っていた時代
身体がそれぞれ分かれているのがもどかしいくらい
一つになりたくて
大好きで愛おしくて仕方なかった
かつて恋人だった、
私たち。
子供たちの父親、母親ではなく、
これは私たち二人の物語でもあったのだと気づく
この先に何が待つのか。
ハレルヤ。
ぎゅっと目をつぶる
どうか私たち二人に祝福を
どうか……!!!!
気づいたら泣いていた
びっくりして起きた夫は寝ぼけて
ごめんね、ごめんねと言いながら
また寝てしまった
ごめんねは私だ
私が笑えればすべてがうまくいく気がする
気がするのにな。
いつしか私も眠っていた
くっついたままで
疲れ果てた日々にほんのいっときだけ
大きな愛のような温かいものが
かつて恋人だった、ボロボロの二人を
包んで、よしよしと撫でて眠らせてくれたような気がする。