新潟県にある、素晴しいものづくりをする工場で、
hahaha!の想いを乗せたとびきり上等なガーゼ商品をつくってもらうことができました。
そこに岩手県のおばあちゃんたちの手によって、お守りの刺繍が施されます。
可愛い可愛い、小さな命へ。
母から、家族から、この世界から。
祝福と祈りの気持ちを込めて届ける、優しい産着です。
<ao×hahaha! コラボ「背守り産着」>
→商品の詳細・お買い求めは→ hahaha!のWEBショップへ
ガーゼが好きで、代官山へ
母になったことで身近になり、その魅力を再認識した素材、「ガーゼ」。柔らかくて肌に優しく、軽いから持ち歩きやすくて、そのうえ吸水性・速乾性もばっちり。私たち母は、全員がガーゼLOVERだと言ってもいいんじゃないしょうか。
このコラボ産着誕生のはじまりは、まだ「hahaha!」が形になる前のこと。私・本間と、後にhahaha!を一緒に立ち上げる福田の二人で、構想という名の妄想を語り合う中、ガーゼ愛の話になりました。
当時、母たち皆が何枚も持っている人気のガーゼケットは外国製で、「あれ?国産の上質なガーゼ商品ってないんだっけ?」と思い至ったのが最初。話しているうちに、「あ、アオがあったね」と。前からちょっと気になって憧れてたブランド、「ao daikanyama」にコツンと当たったのでした。
「日本一気持ちいい、赤ちゃんのガーゼアイテムを作りたいんです」。
ドキドキしながら訪ねた代官山のショップ。まだサイトも完成していない私たちの話を、スタッフの方々が真剣に聞いてくださって、とても嬉しかったのを覚えています。
打ち合わせを重ね、コラボアイテムは産着に決定。そこに私たちのアイデアを盛り込んでいただけることになって。嘘みたいで舞い上がりました。
母は、生まれた子に何を望むのか
とつきとおか。40週間。お腹の中で守られながらすくすく育ち、この世界に誕生してくる新しい命。
どれだけ、かけがえのない命なのか。どれだけ、巡り合えることが奇跡なのか。母親や家族親族の想いは計り知れません。
もしも望むことがあるとすれば、それはきっと、とても純粋で根源的なものでしょう。健康であれ。幸せであれ。笑顔であれと。
私たちは、産着という赤ちゃんへの贈り物に、そういった想いを込めたいと考えました。一言で言うならば、「祝福と祈り」です。
そして、行きついたのが、「背守り(せまもり)」というお守りの刺繍。かつて日本人が毎日着物を着ていた昭和初期頃まで、日本各地で広くみられた風習です。
古来より「魔物は背中から忍び寄る」と信じられており、着物の縫い目は「目」として魔除けになるとされてきました。しかし大人の着物の後ろには背中心の縫い目が一本通っていますが、仕立ての都合、小さな子供の着物にはありません。
流行り病や栄養不足などで、子供が健康に育つことが当たり前ではなかった時代。母親たちは大事なわが子の命を守るため、着物の背中に吉祥文様などの刺繍をして魔除けの「目」をつくりました。それが「背守り」です。
現代は、保健衛生のレベルは格段に進歩していますが、赤ちゃんにとって安全安心な世界かと言われたら、どうでしょう。自然災害や国際情勢、社会の在り方含め、今、わが子の無事・健康・幸せを祈る母たちの想いには、切実なものがあると思います。
それでも、今のこの世界に、この親と家族のもとを選んで、やって来てくれた尊い命。 大きな祝福と、どうか健やかに幸せにという強い祈りを、極上の心地よい産着に込めて、赤ちゃんへ届けたいと思いました。
背守りの柄は3種。まるで我が子に名付けするかのように、二人で本を積み上げあれこれ悩み、決めました。
・強い生命力の「麻の葉」にあやかり、健康に成長するように。素直で気持ちのよい人間になるように。
・唯一無二で、強いエネルギーを持つ「富士山」。強運で、器の大きな人、オリジナリティを発揮する人に。
・寒さに負けず、一番に良い香りで春の訪れを知らせる「梅の花」。心の強さと美しさで人を笑顔にできる人に。
この3つの文様を、機械でなく手で刺繍してもらうのです。
背守りを託す、刺し子の現場へ
そこには、湯気と笑い声がありました。
本間と福田のハハ二人・子二人、新幹線とレンタカーで5時間かけてやってきたのは、岩手県沿岸の大槌町(おおつちちょう)。
昔からの風習としては、母親がわが子の着物に刺すことが多かった「背守り」ですが、このコラボ産着で、私たち母親の代わりに刺繍をしていただけることになったのは、素敵なご縁が巡って「大槌復興刺し子プロジェクト」のお母さん・おばあちゃんたち。
作業場に到着した私たちを、みなさん笑顔で迎えてくださいました。
「大槌復興刺し子プロジェクト」は、2011年の東日本大震災後の避難所から始まりました。
多くの人が亡くなり辛く悲しい日々の中で、根っからの働き者だった大槌の女性たちは仕事場も家事をする場も奪われてしまった。しかし寄り集まって針仕事をすることで、会話が生まれ、やりがいが生まれ、元気が生まれる。お母さんたちが元気になれば、家庭が、地域が明るくなる。そんな、復興への願いを込めた事業でした。
そもそも「刺し子」というのは、日本各地に伝わっている伝統的な針仕事。貴重だった布地を繰返し補修して長く使うため、また東北など寒い地域では布を何枚も縫い重ねて温かく暮らすために親しまれてきた技です。
大槌の皆さんは、町のシンボルであるカモメや鮭をモチーフにしたふきんやバッグをはじめ、おしゃれだけど懐かしい感じがする刺し子のアイテムを数々販売。発足以来累計180人を超える刺し子さんたちが携わってきたそうです。
一針、一針、仕事を進めてもらいながら、皆さんにお話を聞きました。
「昔はね、お産の準備とかお祝いに、古い浴衣をほどいておむつを縫ったのよ。ねんねこ(子をおんぶした上から着る綿入れはんてん)も作ったよ」と峯さん。
「男か女か事前にわからないから、赤ちゃんのものは黄色い布で縫うことが多かったよね」と信子さん。
そして、陽子さんは胸を押さえながらこう言ってくれました。
「いろんなものを作ってきたけど、赤ちゃんの産着を縫わせてもらうなんて新鮮。とっても、嬉しいですよ」。
それを聞いて、私と福田も思わず胸を押さえました。
びっくりしたのは、70代80代のおばあちゃんも含めた皆さんが、昨年お産をした私とまったく同じように、自分のお産や子育てのことをありありと話してくれたこと。
体験したからわかる同じ「母」の目線で、時代も地域も超えて語り合えるのだと知りました。
赤ちゃんが可愛いという気持ちも一緒。「あの痛みは男には我慢できねえべ!」「そうだそうだ」(爆笑)そんな話も共通。そこは、純粋な“ママ友”の集まりになっていました。
作業が一区切りしたら、「お茶にしようか」と。
出てきたのは、手作りの郷土菓子「がんづき」に、「お好子(おごご)」と呼ばれるお漬物。
美味しくて、あったかくて、まだまだそこに居たい気持ちだったけど、新幹線の時間がある。「またおでんせ!(またいらっしゃい)」と手をふる皆さんに見送られ、車を出発させたのでした。
忘れられない、大槌のお母さん・おばあちゃんたちの笑顔。苦労の中にも幸せがたくさんつまった綺麗な手。
私たちの産着の大事な背守り部分を縫ってくれるのは、機械なんかじゃなく、そんな皆さんの手なんだ。胸がいっぱいになりながら、東京に向かいました。
ブランド「ao」の源泉を見に、自社工場へ
そこは、初めてなのに懐かしい場所でした。
本間と福田の旅、第二弾は、aoのガーゼ製品がつくられる工場を訪ねて、新潟県の糸魚川市(いといがわし)へ。
北陸新幹線を降り、ピカピカの駅を出ると、代表の五十嵐さん、ディレクターの久保さん、企画の西川さんのお三方が案内してくれました。
着いたのは1967年創業の老舗縫製工場。
aoはこの工場から2005年に誕生したファクトリーブランドです。
ガーゼとはそもそも何かというと、糸のより方をあまく、織り方をゆるく平織りした、柔らかい綿布のこと。
aoでは生地の風合いを一番大事にしているので、ここには漂白も精練もしていない生機(きばた)と呼ばれる織りあがったままのガーゼ生地が届きます。普通、裁断前の布は芯にきつく巻かれていますが、風合いを損ねぬよう、ゆくるふんわりと巻かれていました。
さらに驚いたのがその先。樹脂加工などを施さず、織られたまんまの生機を縫って製品を作り、最後に洗いをかけるのです。
そのときに大きく縮むので、気の遠くなるような調整を繰返しながら独自の縮率もすべて計算して綿密なパターンを作っているのでした。
すべてはコットンそのものの柔らかさ、「洗いざらしの良さ」を感じてもらうために。ものづくりの魂がそこに宿っているのを感じました。
裁断のリーダー、縄井さんに聞きました。1番難しいのは?
「柄裁ち(がらだち)だね」と即答。縫い上がったときに柄がぴったり合うようにすることだそう。
ふと、五十嵐さんの着ているガーゼシャツを見てびっくり。前の身ごろのチェックの模様が、真ん中でぴったり合っている……
「これも調節してやってるんですか?」「もちろん」。
柄を合わせるだけでなく、ほかにも、縫い目が肌に当たらないように折り伏せ縫いしていたり、赤ちゃん向けの商品ではさらに細部まで、肌に優しい縫製の工夫が随所になされています。
それを、柔らかさにこだわった、つまりゆるく織ったガーゼでやっているのが、すごい。
はじめた当初は、重ねたガーゼがずれてくる、生地の端がほつれてボロボロになる、ちょっと引っ掛けただけで穴が開いてしまう……。
「こんな柔らかい布で細かい縫製なんて無理!」と誰もが諦めたくなる状態だったとか。しかし練習を繰り返し、いつしか「チーム匠」と呼ばれるゴッドハンド集団が完成したのです。
その技術の高さから、工場ではao以外にも「ミナ ペルホネン」をはじめ、モノづくりに細部までこだわる多くのブランドから、長年にわたって縫製の依頼を受け続けています。
縫製のリーダー清水さんに聞きました。一番難しいのは?
「コミニケーションですかね。いかに楽しく8時間過ごすかってこと」。
一番うれしいのは?「厳しい納期に向かって力を合わせてガーっと乗り越えられたときね」。そう言って、笑ってくれました。
代表の五十嵐さんは語ります。
「昔はものを出せば売れる時代だったけど、僕が入社したときにバブルがはじけて売れなくなった。海外進出やら試行錯誤の末、やはり自社ブランドを作ろうと思い立ちました」。
いいものを作る自信はある。でもお客さんのことがわからない。そんなとき、大学の後輩の久保さんと再会します。当時編集者をしていた久保さんは、ガーゼ服のブランドを作りたいという企画をあたためていました。
そしてお二人は、コンセプトに「“洗いざらしの良さ”を感じるガーゼ服」と掲げて、ブランド「ao」をスタートします。誕生から2年目には、ベビー服の製作もはじめました。
そしていま、12年目。
ご一緒させてもらえるご縁を、嬉しくかみしめました。
(右から、ao代表の五十嵐昌樹さん、ブランドディレクターの久保正子さん、企画の西川奈津美さん。)
優しい。あったかい。ていねい。心地よい。
aoの製品は、ここの人たちそのものだし、工場そのものだと気づきました。
1枚1枚の服に、作り手の心根がそのまま出ているのだと。
驚いたというより、「やっと腑に落ちた」という感覚。
ますますaoが大好きになったのでした。
(ちなみに……このときお土産にといただいた、aoのタオルがすごかった…。2010年にグッドデザイン賞を受賞した商品。気持ちよすぎて、数日後、同じタオルをいただいた福田に感動を伝えたところ、彼女はすでにバスタオルを注文していたというほど……笑。洗っても洗ってもふわふわ。いまだに、気持ちよすぎて使うたびニヤリとしてしまいます。)
産着の完成!と使ってみた母の感想
新潟工場でつくられた上等な出来の産着に、岩手のおばあちゃんの手縫いの背守りがついた、素敵な産着が完成。
さっそく自宅へ届けていただき、生まれて4カ月の息子に着せてみました。
まず、白い色が赤ちゃんに似合う。その存在をより神々しく見せてくれるというか。着姿を見て、なんだかまぶしくて、謎に、泣けてきました。
とにかく肌触りがよくて、柔らかくて、気持ちよさそう。足まですっぽりゆとりがあるから、くるりと足に巻くようにしながら上にロンパースの足部分をはかせると、ごろごろしなくてあたたかい。
以来、息子の持ち物の中で大のお気に入りになりました。布も縫製もしっかりしているから、繰り返しの洗濯にへたらない。すぐ乾く。これは大事なポイントです。
そして、着せるときも、洗濯して干すときも、風に揺れる様を見るときも。この産着は、なぜだろう、ふっと優しい気持ちにしてくれるんです。
もし疲れて心がカサついてしまっても、この産着を手にすれば、「ああ、私、赤ちゃんが生まれたんだ」って、愛おしい気持ちが蘇ってくる。そんな1枚です。
きっと、この産着がつくられる過程で、本当にたくさんの、あったかい人たちの優しさが込められているおかげじゃないかと思います。
こんな気持ちにさせてあげられるとしたら、私も、大事な人の出産に贈りたいと思いました。
一人でも多くの方が、手に取って、感じてくださったら嬉しいです。
ao×hahaha!コラボ「背守り産着」
麻の葉、梅の花、富士の3柄
商品の詳細、およびお買い求めは →ご注文は、hahaha!のWEBショップへ
ギフトセットは、ao daikanyamaのオンラインショップからどうぞ。